コミュニティビジネスとは何か?
コミュニティビジネスにはっきりとした定義は存在しません。
しかし、2000年に作成された国民生活白書の中では、次のように説明しています。
「地域社会のニーズを満たす、有償方式の事業。自己の利益ではなく、地域の利益を増大させることが目的である」
事業を行い、利益を追求することが社会への貢献につながるのではなく、事業そのものが「地域社会のニーズを満たす、有償方式の事業」である、という考えです。
コミュニティビジネスが主な目的としているのは、利益を上げることではありません。
その地域が抱えている問題の解決法を模索し、住民の生活水準をより高めるための活動、それがコミュニティビジネスの本質と言えるでしょう。
決められた企業形態はなく、株式会社に有限会社、さらには合同企業といった形をとることもあります。
中にはNPO法人という形で、ビジネスとして、コミュニティ(地域社会)が持つ半公共的なニーズを満たそうとしている所もあります。
企業か、NPOかの違いはあれど、事業を行うことによって「その地域に貢献できる」と判断されるのであれば、同じくコミュニティビジネスとして分類されます。
コミュニティビジネスの鍵となる言葉
地域社会に眠っている需要(ニーズ)を発掘し、満たす
そこに暮らす人々と同じ目線で考える
取り組みが中途半端に途切れないようにする
地域が抱える問題を見つけ、解決する
企業視点で経営を行う
コミュニティビジネスに期待されること
空き店舗の再利用による、地元商店街の活性化。
そして、多種多様な能力を有しながらも高齢でリタイアしたり、子育て中であったりと、なかなか活躍の場に恵まれない、地域の人材の登用。
事業とは直接関係がない所にも、このように期待できる部分はたくさん存在します。
地域に根ざした人材、資源、材料を最大限活かすことによって、地域の経済を大いに振興できるという利点があるのです。
1人1人が自己実現のために、働きがいや生きがいを見いだせるようにすること。
行政・企業が主導ではなかなか難しいサービスを、コミュニティビジネスが代わりに提供し、それによって地域コミュニティをよみがえらせること。
社会参画への入口を拡げ、女性や高齢者たちが活躍できる場を整え、就業や雇用の選択肢を増やすこと。
地域での創業をしやすくする。
さらに、創業やベンチャービジネスの土壌を整備する。
閉店した店舗跡など、地域に眠る資源を存分に活かすこと。
コミュニティビジネスの具体的な内容
コミュニティビジネス向けの業種は実に多様で、福祉、まちづくり、環境、農業、ITなどがあります。
特に焦点を当てるのは、行政や民間企業では切り込むのがなかなか難しい分野です。
行政による公共の事業と、民間企業による利益優先の私的な事業。
その隙間を埋めるような形の、中間的な事業を行うために最適なのが、コミュニティビジネスなのです。
住民の生活に寄り添ったビジネス
介護・介助、デイケアサービス、家事代行、育児・子育て支援、教育など
地域おこし
まちづくり運動、地元商店街の活性化、伝統文化の継承・創造、観光、国際交流など
資源循環型社会を創り出す
農林業の推進、環境保全、再生可能エネルギー、リサイクルの奨励など
地元の企業・個人の事業をサポート
教育、経営、運営などを部分的に、あるいは全て代行する
成功させる秘訣
コミュニティビジネスでは、あまり大きな利益は見込めません。
そのため、設備投資や諸々の経費を始めとした支出を、できるだけ小さくしなければならないのです。
そして、1人だけの力で結果を出そうと考えるのではなく、地域に住むたくさんの人々の声を拾い、参考にしましょう。
それだけでなく、地域の人々に直接事業に関わってもらい、当事者意識を持ってもらうことも重要となります。
地域が持っている資源を存分に活かすことによって、設備投資や人件費に回す予算を最小限にできます。
地域の人々が有する人脈を活用して、徹底的に地域内の情報を調べあげた上で、新しい顧客や販路を拡げるために使いましょう。
行政とも連携して、事業を行うのに役立つ制度はどんどん利用していきます。
地元だけでなく、他の地域の情報も積極的に集めて、有益なものは取り入れていきましょう。
地元の人材は言うまでもなく、地域の企業とも協調して、地域に根ざした強固な組織作りを行いましょう。
まとめ
コミュニティビジネスの主役は、その地域で暮らす住民たちです。
「もしこういうものがあったら、もっと利便性が良くて住みやすい、素敵な地域になる」という考えが住民たちの中から生まれることがきっかけとなります。
その考えを実現しようとする際に直面する無数の問題を解決していくために、地域に眠る資源を最大限に活かし、地元の人材を進んで採用しつつ広げていく、地域に根ざしたビジネス。
それがコミュニティビジネスです。
とはいえ、ボランティアではなく、あくまでビジネスですので、安定した運営を続けていくためにも、盤石な財政基盤を築き、それを維持していくための強靭な意志も求められます。