1.1 IT関連業種の市場動向
IT関連業種全体の動向を見る系統的な統計資料はないが、経済産業省調査による「特定サービス産業胴体統計調査」で、ソフトウェア、システム関連業種の市場動向が把握できる。
2010年までの業種別動向を見ると、全体は2008年頃をピークに縮小又は横ばい傾向にあることが分かる。最も大きな市場規模の「受注ソフトウェア」は一時7兆円近くまで右肩上がりで成長してきたが、縮小に転じ2010年には6兆円近くまで落ち込んでいる。「受注ソフトウェア」以外の業種は、このところほぼ横ばいで推移している。「パッケージソフトウェア製品」はゲームソフトを中心に2000年代前半に大きく成長したが、その後横ばい若しくはやや低下傾向で推移している。
1.2 携帯電話市場の動向
携帯電話の国内のマーケットは落ち着いている。2007年をピークに低下していた出荷台数は2010年にやや反転したが、かつてほどの盛り上がりは見られない。
1.3 新たなIT関係ビジネスの動向
近年、これまでのソフトウェア産業や情報システム産業とかで括れない新たなIT関連のビジネスに動きが見られる。最近になって台頭してきたビジネスであるため、系統的な統計資料は無い。中でも電子書籍とSNS関連ビジネスは今後も大きな進展が期待できる。
通信速度の飛躍的な向上に加えて、アマゾン社、アップル社などから画期的な閲覧情報端末が発売されたこともあり、若年層を中心に印刷物から電子書籍へのシフトが進んでいる。電子書籍はインターネットを通じて手軽に入手でき、重い印刷物を持ち運ぶ必要がないことから、今後全世代に拡大していくことが予想される。
このようなペーパレス化が進展すれば、単に電子書籍としての販売ビジネスだけでなく、様々な関連ビジネスが派生する可能性があり、新たなビジネスチャンスがある。
FacebookやTwitterの広がりを中心にSNS関連ビジネスが花盛りの活況を見せている。SNSサービスサイトの運営ビジネスに止まらず、これらを新たなコミュニケーションツールと捉える企業も増えており、顧客ニーズの掘り起こしやビジネスマッチング、社内コミュニケーションなど、アイデア次第で様々なビジネスが可能であり、巨大マーケットに成長しつつある。