情報の入手方法の種類
適切な品揃えを実現するためには、売れ筋商品や顧客ニーズの情報を適宜獲得する必要があります。入手方法としては、内部からと外部からの二通りがあります。どちらも重要です。上手くバランスを取って情報入手に努めましょう。
内部からの情報入手
現代においては、顧客情報は通常POSシステムを活用します。POSシステムはシステムを入れただけでは何の役にも立ちません。POSシステムでは、どのような商品が、いつ、どれくらい、いくらで売れたのかが基本情報として獲得できます。進んだPOSシステムでは、売れた日の天候や顧客の年齢層なども獲得できるものもあります。
重要なのは、ここで獲得できた情報をどのように活用するかです。情報を分析して、他のルートから得られた情報も加味して、仕入れ戦略に活用されてこそ、はじめてPOSシステムの威力が発揮されるのです。「何故か」という問いが重要です。
POSシステムは、基本的に売れた情報しか把握できません。顧客が欲しかったにもかかわらず、買えなかった情報は別途把握する必要があるのです。在庫がなかったり、そもそも取り扱いがなかったりが原因で顧客が手にすることが出来なかった情報を、顧客要求伝票として獲得することが、潜在的なニーズを掘り起こす上で非常に重要です。
販売員も有効な情報源です。従業員教育を徹底して、日頃から顧客との交流を奨励しましょう。数字に表れない、思わぬ顧客ニーズが得られることがあります。そのためには、店長は日頃から従業員とのコミュニケーションを充実させる努力が必要です。
外部からの情報入手
外部情報として最も有効なのは、取引先からの情報です。取引業者は1社のみの付き合いということはありませんので、業界他社の情報を豊富に持っています。新商品の開発状況や商品トラブル情報などにも敏感になりましょう。そのためには、言うまでもなく日頃の付き合いが非常に重要です。こちらが必要なときだけ、声を掛けても相手にしてくれません。
やや一般的な情報になりますが、業界誌などからの情報も日頃からチェックしておく必要があります。これらの情報は基本的に誰でも手にすることが出来る情報なので、それだけでは、他店との差別化には役に立ちません。一つのヒントとして活用しましょう。
顧客の生の声を定期的に聞く方策を検討すべきです。アンケートでも良いし、簡単な座談会的なものでも構いません。店は顧客と乖離することを最も恐れるべきです。
現代は、ネット上に、どのような情報でも飛び交っています。思わぬビジネスチャンス情報が転がっている場合もありますし、危険シグナル情報がある場合もあります。気を付けなくてはいけないのは、情報の信頼性です。ネット情報は匿名の場合が多く、無責任な情報が主流です。情報を選別する能力が、ネットの活用を有効にするかどうかを決めます。
仕入れ先の選定
仕入れ先を選定するにあたって、まず検討すべきは商品力です。モノが良くなければ話になりません。基本的なスペックだけでなく、デザインや印象、ブランドなども当然チェックします。
仕入れ条件の確認も必須です。価格面では、特に新規取引の場合はダメもとでも割引交渉をしましょう。支払いが現金なのか、手形なのか、手形の期間等の条件はどうなのかもキャッシュフローに直結する重要項目です。納品や返品に関しても、輸送や梱包、納品場所、荷姿、返品の条件も事前に確認が必要です。
直接の取引に関係しない、仕入れ先の情報収集力や経営姿勢などもチェックしておきたいところです。業界情報の収集力は、場合によっては商品力に匹敵する選定基準になります。仕入れ先の経営姿勢は、直接入手することは難しい面がありますが、信用調査などである程度判断できますし、日頃の付き合いの雰囲気で、何となくおかしいといった情報をキャッチすることは可能です。欠品が多かったり、納期が遅れたり、品質にバラツキがあったりしたら要注意です。日頃からアンテナを高くしておきましょう。
仕入れの効率化
仕入れ効率を上げる一つの方法は大量仕入れであることは論を待ちません。割引を受けれる可能性がありますし、発注コストを下げられます。品切れも起こしにくくなります。しかしながら、大量仕入れには、在庫コストや商品流動性などの問題もあることを忘れてはいけません。在庫コストはバカになりません。大量仕入れした商品のニーズに急激な変動が合った場合には対応が難しくなります。
共同仕入れという選択肢もあります。一社だけで大量仕入れするのはリスクが高いですから、複数の同業者と組んで大量仕入れをするのです。産業団地などに入居している場合は、組織化がさほど難しくありません。組合の力を借りるのも良いでしょう。仕入れ先との交渉も集団だと優位に立てる場合があります。気を付けなくてはいけないのは、仲間内のコミュニケーションです。どこかが大きく損をしたり、得をしたりしないように、円満な関係を常に維持しないと、妙な軋轢を生んでしまうことがあります。気を付けましょう。
仕入れ先をどれ位広げるかは、難しい問題です。あまり広げすぎると、特定の仕入れ先と深い関係を築けなくなり、いざというとき融通が利かなくなります。かといって、一社に集中してしまうと、トラブル時のリスクが大きくなりますし、選択肢がなくなってしまいます。要はバランス感覚です。品物やタイミングによっても変わります。慎重に検討しましょう。
よくありがちなのが、前例踏襲、横並びです。これは絶対排除する必要があります。「これまでこうだったのだから」、「親父の頃からの付き合いだから」、「みんなそうやっているのがから」のような関係で仕入れ先と付き合うのは止めましょう。確かに古い付き合いも大事にする必要はありますが、ビジネスはビジネスと割り切ることも重要です。