「親戚にお金を貸すことになったけど、借用書ってあった方が良いの?」
「借用書の書き方がわからない。誰が書くの?弁護士に作ってもらう?」
と疑問を抱えている方の悩みを解決できる記事になっています。
実は借用書はポイントさえ押さえておけば、簡単に作ることができます。
チラシの裏面を使っても有効なぐらい簡単で、トラブルの予防になりますから、お金を貸し借りするときは必ず作っておきましょう。
この記事では、そもそも借用書って何だろうという話から、借用書の書き方、借用書を作る時の注意点の紹介。そして借用書を簡単に作ることができて、無料で使用できるテンプレートを紹介します。
記事を読み終えると、借用書の基本がわかって自分で借用書を作ることができるようになります。
借用書とはなんですか?
「お金を貸すときは借用書がないとダメ!」
と言われても、借用書がどんなものかわからないと困ってしまいますよね。
まずは借用書がどんな書類なのか押さえておきましょう。
借用書とは借りる人と貸す人の間にお金の貸し借りがあった事を証明し、返済を約束する書類です。
原則的には借りる人がお金の代わりに、お金を貸してくれる人に渡します。
万が一、「貸したお金を返してもらえない」「約束よりも高い利息を取られた」などのトラブルがあった場合、裁判の証拠として使用されます。
借用書の書面には、貸した金額と日付、返済の期日、返済の方法、利息などが記載されます。
借用書をコピーして借りた人に渡しておけば、「返済日いつだっけ?」「借りたの2万円じゃなくて1万円じゃなかった?」といった認識の違いによるトラブルを防ぐ役割もあります。忘れっぽい人にお金を貸すときは借用書が必須ですね。
借用書なしでお金を貸すとどうなるの?
お金を貸す相手が、普段から親しい間柄だったり、よくお世話になっている人だったりすると、借用書などなくてもお金を貸してしまいたくなります。
しかし、お金には人間関係を壊してしまうほどの力があります。
もちろん、身近な人の間でのお金の貸し借りなどないに越したことはありませんが、もしもお金を貸さなければならないという時は、必ず借用書を作りましょう。
借用書を作ることを拒まれた場合は、お金を貸すことを断る勇気も必要であることを覚えておいてください。
借用書の書き方例
親しい親族や友人など、個人間の低額の借金であるなら、手書きで作った借用書で十分です。わざわざ弁護士に依頼する必要はありません。
意外に思われるかもしれませんが、必要な項目さえ押さえていれば、チラシの裏面に書かれた借用書でも裁判の証拠として効力を発揮します。
借用書は原則として借主が作成し、貸主に渡すものです。
しかし、借主が自主的に借用書を作ってくるとは限りませんし、「作り方がわからない」と言ってくる可能性もあります。かといって、借用書なしにお金を貸したり借りたりをするのは避けたほうが良いので、その場合は借主がひな型を作り、借主に署名をさせるといいでしょう。
もしお手元にパソコンがあるなら、穴埋めするだけで借用書が作れるテンプレートと言うものがあります。必要な項目を漏れなく入力することができ、一から自分で作る手間も省かれるので、うまく活用してみてください。
借用書は簡単に作れるとは言え、不足している内容があったり、書き方を間違えてしまったりしていると、いざ裁判というときに証拠として成り立たず、役に立たなくなってしまう事にもなりかねません。
以下に借用書を作成するときに必要な10項目を紹介しますので、確認してください。
借用書の作成に必要な10項目
項目 | 説明 |
①文書表題 | 「借用書」 |
②貸主の氏名 | パソコンで作る場合でも手書きが望ましい |
③金銭を貸し借りした日付 | 年月日を記入。和暦が一般的 |
④貸した金額 | 「金〇〇円」。大文字漢数字で詰めて書く。 |
⑤返済期日 | 「この日までにお金を返します」という年月日 |
⑥返済方法 | 手渡し・振り込み |
⑦利息、遅延損害金 | 取り決めする場合は記載する |
⑧文章の作成日 | 金銭を貸し借りした日付と同じ日にち |
⑨借主の住所・氏名・捺印 | 手書きで記載する |
⑩収入印紙 | 金額が1万円以上の場合必要 |
記入例
以上が借用書の作成に必要な10項目と記入例です。
記入例と照らし合わせるために、便宜上の番号を振っていますが、必ずしもこの順番通りに書かなければならないというものではありません。
使用するテンプレートによっては違う表記の仕方の場合もあります。
借用書を作る時に注意しておきたい事
次に各項目を記入する際の注意事項を紹介します。
①文書表題
「借用書」と記載します。
文章表題が書かれていないと、領収書や預かり証と解釈されてしまう恐れがあります。
②貸主の氏名、⑨借主の住所・氏名・捺印
貸す人、借りる人それぞれの氏名は偽造防止のために手書きで記載しましょう。
その際、書き直しができる鉛筆や消せるボールペンで書いてしまうと無効になってしまうので気を付けて下さい。
印鑑は認印でも構いませんが、できれば実印と印鑑証明があると尚良いです。
③金銭を貸し借りした日付、⑧文章の作成日
借用書は、貸主が借主にお金を渡す代わりに、借主から貸主に渡されるものなので、この日付は金銭の授受があった年月日を記入します。
西暦よりも和暦で記入する方が一般的です。
④貸した金額
金額を記入するときは、捏造を防ぐため、また捏造を疑われないために「壱、弐、参・・拾・・萬」のような大字の漢数字を使います。
普段使っている漢数字は、「一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、百、万」だと思いますが、これだと画数が少ない数字は、線を何本か書き足すだけで別の漢数字に捏造できてしまいますよね。
同じ理由でアラビア数字(1、2、3、4・・・)も使えません。
⑤返済期日
「〇日後」「○か月後」「○年以内」といったあいまいな表記は避け、「〇年〇月〇日」と正しく記載しましょう
⑥返済方法
返済方法について記載しなかった場合は、手渡しによる返済が基本です。
⑦利息、遅延損害金
借主が貸主に利息を払うのかどうか、また払うとしたらいくら払うのかを記載します。
利息を払うかどうかは双方の話し合いで自由に決めることができます。
利息は無制限に払われるわけではなく、利息制限法という法律で上限が決められています。
元金 | 利率 |
10万円未満 | 年20%まで |
10万円以上100万円未満 | 年18%まで |
100万円以上 | 年15%まで |
遅延損害金は、予定通りに返済されないことに備えて決めることができます。
もちろん、双方の話し合いで遅延損害金もなしとすることはできます。
しかし、約束通りに返済されるように、遅延損害金を取り決めておいた方が良いでしょう。
遅延損害金についても、利息制限法によって上限が定められています。
元金 | 遅延損害金 |
10万円未満 | 年29.2%(利息の1.46倍)まで |
10万円以上100万円未満 | 年26.28%(利息の1.46倍)まで |
100万円以上 | 年21.9%(利息の1.46倍)まで |
⑩収入印紙
貸し借りする金額が1万円以上の場合、収入印紙を貼る必要があります。
収入印紙の額は貸し借りする金額によって異なります。
収入印紙を貼っていないと、裁判になった時に本来の印紙額の3倍を払わなければならなくなってしまいます。
しかし、収入印紙が貼られていなかったとしても、借用書の効力がなくなるわけではありません。
収入印紙は、郵便局、コンビニ、商工会議所、金券ショップなどで購入可能です。
ただし、コンビニや金券ショップでは少額の物しか置いていなかったり、在庫にムラがあったりしますので気を付けてください。
貸し借りする金額 | 収入印紙の額 |
1万円未満 | 不要 |
1万円以上10万円以下 | 200円 |
10万円超50万円以下 | 400円 |
50万円超100万円以下 | 1,000円 |
100万円超500万円以下 | 2,000円 |
作成した借用書はコピーを取ってお互いに保存
借用書を作成し、お互いに記名、押印、収入印紙を貼り付けたら、返済が終わるまで貸主が保管します。
必須ではありませんが、取り決めた内容を忘れないように借主にコピーを渡すこともあります。
金額が大きくなる場合は弁護士に作成を依頼することもできる。
金額が多い場合や、後々のトラブルが怖い場合は、弁護士に借用書の作成を依頼することもできます。
費用の相場は1万円前後の事が多いようです。
また公証人役場で、公正証書を作ってもらうのも一つの手です。
公正証書は、自分たちで作った借用書(私文書)よりも強い効力を持っています。
そのため返済が滞った時は裁判を起こさなくても借金を回収することができます。
そのまま使えるフォーマット!借用書の無料テンプレートを紹介
「すべて自分で作るのは面倒だ」
「自分で作ると必要な項目を忘れてしまう」
と言う方のために、無料で使えるテンプレートを紹介します。
ダウンロードすればすぐに使用できますので、お気軽にお試しください。
借用書テンプレート_シンプル(ワード・ページズ)
この記事の書き方例にも使用したテンプレートです。
シンプルながらも必要な項目は網羅しています。
マイクロソフト社のワード、もしくはアップル社のページズを使って開くことができます。
借用書テンプレ―ト『金銭消費貸借契約書』(ワード・ページズ)
「金銭消費貸借契約」とは、借主が貸主に同額を返還することを約束して、貸主から金銭を受け取る契約のことを言います。平たく言えば、借金の契約書です。
マイクロソフト社のワード、もしくはアップル社のページズを使って開くことができます。
簡易借用書テンプレート(ワード・ページズ)
簡易版とは言え、必要な項目は網羅しています。
マイクロソフト社のワード、もしくはアップル社のページズを使って開くことができます。
借用書の無料素材テンプレート(エクセル)
ワードよりもエクセルの方が使い慣れている方向けのテンプレートです。
マイクロソフト社のエクセルを使って開くことができます。
鍵借用書の無料素材テンプレート(ワード)
こちらは金銭ではなく、「鍵」の借用書のテンプレートです。
使用場面は限られますが、会議室などの鍵を貸し出す場合に便利です。
物品借用書の無料素材テンプレート(ワード)
会議用机、プロジェクター、パーテーションなど、物品を貸し出す際に借主に記入してもらうためのテンプレートです。
まとめ
「お金の切れ目は縁の切れ目」ということわざもありますが、お金がきっかけとなり、培ってきた人間関係が壊れてしまうことは少なくありません。
トラブルを未然に防止するためにも、お金を貸し借りするときは「借用書」を作るようにしましょう。
作るのが面倒に場合は、テンプレートを使うことで少しでも手間を減らすことができます。
うまく活用してみてください。
今回紹介したテンプレートの一覧はこちら