「委任状って何?」
「委任状ってどうやって書くの?」
という素朴な疑問に答えていきます。
気軽に委任状を書いたらトラブルに巻き込まれた・・・なんてことにならないように、しっかりと書き方を覚えておきましょう。
ささっと委任状を作りたいときに便利な無料テンプレートも用意してありますので、ご活用ください。
委任状って何?
本来は本人がやるべき手続きを他の人にお願いして、代わりにやってもらわなければいけない時があります。
その際に「私の代理としてこの人に依頼しました」ということを証明する文書を「委任状」と言います。
委任状があることで、役所で証明書を発行したり、不動産の売買契約をしたり、銀号でお金を下ろしたりと言った、本来は本人にしかできないことを第三者に代理してもらうことができるようになります。
知らないと怖い「白紙委任状」とは?
委任者の署名と捺印だけを行い、代理人名や委任行為(お願いする内容)を記載していない委任状のことを「白紙委任状」と言います。
「白紙委任状」は委任内容や代理人を自由に書くことができてしまうため、権限を乱用されてしまう様なトラブルを引き起こしかねません。
仮に白紙委任状で委任行為(=勝手に現金が引き起こされる、勝手に不動産を売買される など)が行われたとしても、代理行為が有効となり被害を受ける可能性があります。
また、委任内容が記載されていたとしても、あいまいな記述がされている場合は白紙委任状と大差なく、権限を乱用されてしまう可能性が出てきます。
委任状の具体的な書き方は?
役場や銀行では、必要事項を記入するだけになっているものが用意されていることがあります。「委任状 〇〇市」などのキーワードで検索してもらえばすぐに見つかりますので探してみてください。
もし見つからない場合やそれ以外の用途で委任状を作成する場合はぜひ参考にしてください。
委任状は、原則として委任者が作成します。
けがや病気などのやむを得ない場合を除いて、委任状の作成まで代理人に任せるというのはやめましょう。
もし、お手元にパソコンがあるなら、穴埋めするだけで委任状を作ることができる「テンプレート」と言うものがあります。必要な項目を漏れなく入力することでき、一から自分で作る手間も省かれるので、うまく活用してみてください。
委任状の記載項目は5つあります。
- 委任年月日
- 委任者の氏名・住所
- 受任者(代理人)の氏名・住所
- 委任事項
- 捺印
①「委任年月日」は委任した日付
代理人に委任した日付です。
委任状を乱用したトラブルを防ぐため、役所などでは委任日から3か月と言うように期間を指定しているところもあります。
委任者自らが有効期間を設定したい場合は、「委任期間:令和〇〇年〇月〇日~令和〇〇年△月△日迄」と言う項目を追加することもできます。
②「委任者の氏名・住所」はできるだけ手書きで書く
通常はパソコンで入力したものでよいのですが、提出先によっては自筆での記名が必要なこともあります。偽造を防ぐ用心のためにも氏名は手書きすることをお勧めします。
手書きをする場合は鉛筆やシャープペンではなく、ボールペンや万年筆を使いましょう。
本人を特定するために生年月日や電話番号の記載を求められることもあります。
③受任者(代理人)の氏名・住所
受任者(代理人)の氏名・住所も委任者が記載します。
受任者(代理人)の押印は必ずしも必要ではありません。
受任者も委任者と同様に生年月日や電話番号の記載を求められることがあります。
代理手続きを行う先で、身分証明書の提示を求められることがあります。あらかじめわかっている場合は伝えておいてあげると親切です。
④【 最重要!】「委任事項」はできるだけ詳しく書く
どんな行為を委任するか、できるだけ詳しく書きます。
書類の取得や提出程度であれば問題になることはありませんが、何らかの権利や義務に関わる意思表示や込み入った内容を委任する場合は特に詳細に記載します。
交渉事など多くの内容を含む場合は「〇〇の一切の件」という表現をします。
⑤捺印
委任状にはシャチハタ以外の印鑑での捺印が必要です。
場合によっては認印で良いこともありますし、重要な内容では実印と印鑑証明が必要なこともあります。
尚、捺印は委任者のみが行い、受任者の印は不要です。
委任状を作る時の注意点
委任状は記載しなければいけない項目はそれほど多くないものの、トラブルに巻き込まれないために押さえておきたいポイントが3つあります。
- 作成後は必ずコピーを取る
- 余分な余白はつくらない
- 捨て印は押さない
この3つをやっておくことで委任事項を勝手に変更されたり、追加されたりするトラブルを防ぐことができます。
どれも簡単な事なので、忘れずにやっておきましょう。
委任状の作成後は必ずコピーを取る
委任状を作成したら、必ずコピー取って保管しておくようにします。
コピーが手元にあれば、万が一委任事項が不正に改ざんされてもすぐにわかるようになります。
また、委任状の内容を忘れてしまってもいつでも確認できるようになるので便利です。
委任状には余分な余白は作らない
余分な余白があると委任事項を勝手に追加されるなどのトラブルが起こりかねません。
余白が生じた場合は「以上」もしくは「以下余白」と記しておきます。
委任状には捨て印は押さない
本来、文書の訂正には「訂正印」が必要になります。
しかし一度手を離れてしまうと、誤りがあっても訂正印を押すことがなかなか難しいという事もあります。
それを見越して、あらかじめ訂正印を欄外に打っておくのが「捨て印」です。
捨て印は便利な反面、勝手に文書の内容を改ざんできてしまうという怖い側面もありますので、注意しましょう。
すぐに使えて便利な委任状テンプレートの紹介
委任状の提出先が役所や銀行などの場合、指定の用紙が準備されていることが多いので、そちらをご利用ください。
それ以外の場合、一から自分で委任状を作る必要がある場合は、こちらのテンプレートを使うと便利です。
今回は用途やアプリケーション別に4種類のテンプレートをご紹介します。
形式なしの委任状フォーマット(ワード、ページズ)
マイクロソフト社のワードやアップル社のページズで使用できるテンプレートです。
委任事項を変えるだけで、目的を問わずに使用することができます。
委任状フォーマット戸籍謄本テンプレート(ワード、ページズ)
戸籍謄本の取得を役場に依頼するときに用いる委任状です。
お住いの地域の役場で、決められた委任状がないときにお使いください。
委任状の無料テンプレート素材(エクセル
マイクロソフト社のエクセルで使用できるテンプレートです。
ワードは苦手だけど、エクセルなら何とか・・・と言う方はこちらをお使いください。
町内会総会欠席委任状の無料テンプレート素材(ワード)
町内会の総会を欠席する際に用いる委任状テンプレートです。
町内会側で用意されていることもあるかと思いますが、そういったものがない場合は、こちらのテンプレートが便利です。
委任状について調べていると出てくるちょっとややこしい言葉たち
公的な書類を書こうと思って調べていると、普段は使わないような難しい言葉がたくさん出てきますよね。
委任状に関わる難しい言葉を2つだけ紹介します。
- 「委任」と「代理」
- 「押印」と「捺印」
「委任」と「代理」
本来は自分でやらなければいけない手続きなどを第三者にお願いする行為を「委任」と言います。
委任者からのお願いを受けて、委任者の代わりに手続きなどを行うことを「代理」と言います。
委任してもらう内容や期間などをしっかりと決めておかないと、余分なことまで代理で行えてしまうので、委任事項はしっかりと記載しておく必要があります。
「押印」と「捺印」
自分で名前を書いて、そこにハンコを押すことを「捺印」。
渡された書類にすでに名前が書かれていて、そこにハンコを押すことを「押印」と言います。
どちらにしても「ハンコを押す」という行為に変わりはありません。
よくある質問
委任状は必ず書く必要がありますか? 手続きによっては、委任状が必要な場合とそうでない場合があります。具体的な手続きについては、関連する機関や窓口に問い合わせて確認しましょう。
委任状にはどんな情報を記載すべきですか? 委任状には、委任者名、被委任者名、委任の範囲や目的、日付、署名または捺印を記載する必要があります。
委任状は電子署名で作成できますか? 電子署名の利用が認められている場合もありますが、手続きによっては紙の委任状が求められることもあります。具体的な手続きについては、関連する機関や窓口に問い合わせて確認しましょう。
委任状に期限を設定することはできますか? 委任状に期限を設定することは可能です。期限を設定することで、その期間内に限定して被委任者が代理人として行動できるようになります。期限を設定する場合は、委任状に明記してください。
委任状を取り消すことはできますか? 委任状は、任意で取り消すことができます。取り消す場合は、被委任者に対してその旨を通知し、必要に応じて関連する機関や窓口にも連絡してください。
複数の手続きを同じ委任状で行うことはできますか? 複数の手続きを同じ委任状で行うことは可能ですが、それぞれの手続きの内容が明確に記載されていることが重要です。また、関連する機関や窓口が同じ委任状を受け入れるかどうか事前に確認しておくことをお勧めします。
委任状には原本が必要ですか? 通常は委任状の原本が求められますが、場合によってはコピーで対応可能なケースもあります。具体的な手続きについては、関連する機関や窓口に問い合わせて確認しましょう。
各行政によって書き方などが違うこともあるので、提出先のHPなどを見ることをおすすめします。
まとめ
委任状を作成することで、本来は自分でやらなければいけない手続きを他の人にお願いできるようになります。
委任状に必要な記載事項は以下の5つです。
- 委任年月日
- 委任者の氏名・住所
- 受任者(代理人)の氏名・住所
- 委任事項
- 捺印
委任状は受任者に対して法的に代理権を与えることができるので、一歩間違えると書き換えられてしまったり、代理権を乱用されてしまったりして、被害を受けてしまう事が考えられます。
こういったことを防ぐためにも最低限気をつけたいことが3つあります。
- 作成後は必ずコピーを取る
- 余分な余白はつくらない
- 捨て印は押さない
委任状はテンプレートを使用することで、誰でも簡単に作ることができます。
困ったときはぜひ活用してください。