「VRIO分析」とは?
VRIO分析は、自社が競合他社に比べてどれほどの優位性があるかを分析するツールであり、自社の持つ経営資源に着目して4つの視点から問いを立てます。4つの視点とは、①Value(経済価値)、②Rarity(希少性)、③Inimitability(模倣困難性)、④Organization(組織)のことを指します。アメリカの経営学者であるジェイ・B・バーニー氏が考案しました。
「VRIO分析」をどうやって使うか?
鰤男(ブリオ)にちなんで、ここから先は、鮮魚店ビジネスを例に話を進めます。実話ではなくフィクションです。
ある商店街で、Zさんは、鮮魚店を新規出店しようとしています。出店候補エリアを調査した結果、この商店街には既存の店舗であるA店が存在しており、A店は店員の威勢の良い客引き、駅前好立地、という2点に強みを持っていることがわかりました。連日沢山のお客さんで賑わっていますが、お会計の際に行列ができてしまっており「早く家に帰って新鮮な美味しい魚を食べたいのに」という不満の声もチラホラ聞こえてきました。そこでZさんは、「VRIO分析」を駆使して、A店にはない経営資源を有する鮮魚店を考案しました。
Zさんが考案した鮮魚店は「BOPISを活用した鮮魚店」です。「BOPIS」とは、「Buy Online Pick-up In Store」の略語であり、頭文字B・O・P・I・Sを繋げた略語です。つまり、オンラインで事前注文して決済を済ませて、店頭で受け取るサービスのことです。
ECサイト上で魚介類を事前注文し、事前決済を済ませると、暗証番号が付与されます。店頭に行ったら、冷蔵ロッカーの扉を暗証番号を入力して開けて商品を受け取ります。受け取り場所は、A店同様に駅の近くにして、立寄りやすい立地を選択しました。
「VRIO分析」を使ってみたら何が分かった?
「VRIO分析」を駆使したZさんの「差別化戦略」や「市場の棲み分け」は成功しているのでしょうか?Zさんは、出店から6か月後、PDCAのCを実施しました。
「魚を待たずに買いたい」というタイパ重視のお客さんは、目論見通り、A店からZさんのお店にシフトしました。しかしながら、「ECサイトに掲載している魚介類の見栄えが悪くて美味しそうに見えない」というユーザーのコメントが多数寄せられたので、今後の対策として、掲載する映像を写真ではなくて動画にする、撮影をプロのカメラマンに外注する、といった工夫を講じる必要がありそうです。
それから、人件費負担は軽いけれども、DX特有の経費負担が大きい。わかってはいたことだけれども、改めて痛感しました。
おすすめのテンプレート
下図をクリックすると「事業分析テンプレート一覧」に移動します。そのなかに、上記のケースを引用した記入例を付けてますので、是非ご覧ください。
「VRIO分析」は、自社事業の経営資源分析を行うツールですが、手前味噌にならないように客観性ある分析でなくてはならず、何と比較するのかがポイントです。よって、ひな形ジャーナルの「VRIO分析」は、分析効果を高めるために、1枚のなかで競合他社分析を同時にできるオリジナルバージョンとなっています。