1.1 我が国の年代別人口動態
我が国は2005年以降人口減少社会に突入しています。この傾向は今後一層顕著になっていくことが明らかです。今後の有望な市場を考える際、どの年代の人口が今後増えていくのかを分析する必要があります。
図2の年代別人口推移を見ると、注目すべき年代は60代と40代です。40代はいわゆる団塊ジュニア世代と呼ばれる世代で、2016年には人口のピークを迎えています。60代人口は既に2011年に人口のピークを過ぎ、人口は下降していますが、未だ年代別人口では40代に次いで2位となっています。今後は団塊ジュニア世代が50代を迎え、この年代が急速に増加し、2026年にはピークを迎えます。
1.2 60代及び40代をターゲットとした有望市場
民間企業が実施した消費者利用動向調査から、60代と40代で利用意向が高い業界の男女別ランキングをとりまとめたものです。
60代、40代で共通して利用意向が高いのは、100円ショップ、ベーカリーショップ、コンビニです。書店も比較的高い位置を占めています。この傾向は男女共通です。
値段をさほど気にせず気分の赴くままにショッピングを楽しむという100円ショップのビジネスモデルが成功していることが明らかです。日本人の洋食指向が顕著に表れているのがベーカリーショップの人気です。そのおしゃれ感覚から、特に女性の高い支持を集めています。コンビニも日本で独自の新たなビジネスモデルを確立した業界です。ものだけでなく、サービスも提供し、非常に利便性の高い空間を演出することに成功しています。
これらの業界は今後も間違いなく収益が期待できる業界ということが出来ます。注目したいのは、これらの業界に共通する新感覚のビジネスモデルです。単にこれまでの延長線上でビジネスを展開しているのではなく、新たな工夫が施されていることに注目すべきです。そして、それが人口構成上多数を占める60代、40代に指示される傾向があるのです。そして、今後人口のピークを迎える50代にも同様の傾向があると思われます。
60代男性の利用意向で注目したいのは書店です。この年代に特有の知識獲得欲が要因として考えられます。書店は60代女性にも、40代にもそれなりの支持を集めています。ここで言う書店にはアマゾンなどのインターネット書籍販売や電子書籍が含まれていることに注目すべきです。
40代男性で焼き肉店が3位になっているのは、如何にもという印象です。やはり年代的に肉食系の人気が根強いのです。40代女性のパスタ専門店が5位に付けていることとの大きな違いです。
1.3 高齢世代向け市場へのアプローチ
我が国の高齢化が加速度的に進展し、70代、80代の人口が今後増加していくことは明らかです。特に80代の人口は長期にわたって増加し続けることになります。
となれば、この世代を対象にしたビジネスに着目する必要があるのは自明です。高齢者ビジネスと言えば、医療・介護を連想しがちですが、もう少し視野を広げて、高齢者の意向を細かく分析したアプローチが必要になると思われます。そこには新たなビジネスモデルによる大きなビジネスチャンスがあります。