商品陳列とは
商品陳列を考える場合、最も重要なのは顧客の立場に立って考えることです。売りたいものをどのように陳列するか考えるのではなく、顧客が買いたいと思われるものを、買いやすくするためには、どのように陳列すれば良いかを考えるのです。
そのために、「何を」、「何処に」、「どれ位」、「どのように」陳列するかを考えるのです。
顧客が買わされたと感じてしまっては持続可能性がありません。気持ちよく買い物が出来た。また行きたい。と思ってもらえるような陳列を心がけましょう。
「何を」陳列するか
陳列する商品は、ターゲットとする顧客がどのような層なのかによって決まります。勿論、ターゲットは一つとは限りません。ターゲットとする顧客を層別して、ボリュームを想定します。富裕層が多いエリアで廉価品を多く出しても意味ありません。
買う立場になって考えてみてください。関連する商品は近くにあった方が買いやすいのは当然です。パスタとパスタソースは近くにあった方が買いやすいのです。要は想像力です。生活者が実際に生活しているシーンを想像して、何と何をセットにして買いたいのかを考えるのです。
「何処に」陳列するか
一般的に、ゴールデンゾーンというのは決まっています。女性の場合は、0.6mから1.5mの高さが目立ちやすく、手に取りやすいのです。男性の場合はこれより高めで、子供の場合はこれより低めです。顧客が探しやすいということは、目につきやすいということです。売りたいものをゴールデンゾーンに陳列するのではなく、多くの顧客が探し求めるものをゴールデンゾーンに陳列するのです。
陳列の手法として、横陳列と縦陳列の違いは理解しておく必要があります。顧客がそこに立ち止まって一度に見渡せる範囲は幅1.8mだと言われています。横陳列は顧客の目線を上下させる必要がありませんので、同種の商品を比較するのに便利ですが、何メートルも関連商品を横陳列しても顧客は比較検討するのに苦労します。
一方、縦陳列はゴールデンゾーン内だと顧客は関連商品の比較検討が容易になりますが、ボリュームの問題が残ります。この辺りを良く考えて、縦陳列する商品と横陳列する商品を選びます。
「どれ位」陳列するか
品揃えとフェイス数の考え方は、実はそれほど難しくはありません。売れ筋と売れ行きの情報を管理できていれば、半ば機械的に対応できます。
問題は情報の管理なのです。POSシステムを導入している大手スーパーやフランチャイズ店であれば、立派な管理ソフトがありますので、ルーチンワークとして品揃えとファエイス数を決めることができます。実際にコンビニなどはそうしています。
一般の中小小売店では、この辺りが未整備で、いわば勘と経験で品揃えとフェイス数を決めていることが多いのです。利益率の差はこの辺りがポイントなのですが、システムの導入は、投資と利益率の関係をよく見定めて検討する必要があります。
「どのように」陳列するか
陳列手法には、季節商品などを島のように平台の上にかためる島陳列や、特売商品などを前に押し出して陳列する飛び出し陳列、無造作に商品を籠に投げ入れるようにするジャンブル陳列など、様々なやり方があります。商品の性格や顧客の層を考えて、色々組み合わせを考えます。
衣料品をハンガーに掛けて陳列する場合は、一つのバーに掛ける量や種類を細かく考える必要があります。顧客の感覚からすれば、高級品は少なめが望ましく、廉価品といえども、一つのバーには片側に寄せたとき、1/3位はスペースを空けるのが望ましいのです。サイズ別、色別をどのように並べるかも大きなポイントの一つです。
陳列には、その商品を直接販売するのではなく、いわばショーケースのように展示して、イメージ作りをする形のものもあります。この場合は、ディスプレイに特別な工夫が必要なので、出来るだけ専門家の意見を取り入れましょう。