社会保険
社会保険には広義の社会保険と、狭義の社会保険があります。狭義の社会保険には、健康保険と厚生年金保険があります。広義の社会保険は、これに、労働保険を加えたものを指します。今回は、狭義の社会保険について解説します。
健康保険
健康保険の対象は、保険に加入している本人とその家族です。
健康保険の目的は、病気やケガの治療費、出産・葬儀の費用、病気やケガ・出産による生活費補助です。
注意点としては、健康保険は、仕事中や通勤途中の事故によるケガは対象にならないことです。これらの場合は、労働保険の労災保険が適用されます。
給付の種類と内容は以下の表のとおりです。
厚生年金保険
厚生年金保険には、老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金があります。老齢厚生年金は老後の生活費用で、障害厚生年金は障害を持った場合の生活保障で、加入者本人が対象です。一方、遺族厚生年金は、本人が死亡した場合の遺族の生活保障です。
社会保険の対象
法人化している企業は、強制的に社会保険に加入する必要があります。たとえ社長一人の会社であっても加入が必要です。加入は事業所単位です。
一方、個人経営の場合は、常時5人未満の事業所やサービス業(旅館業、飲食業、ビル清掃業など)は加入を免除されていますが、希望すれば加入することができます。このような事業所を、任意包括適用事務所と言います。
任意包括適用事務所が社会保険に加入するためには、全従業員の過半数の同意で加入できますが、社会保険から脱退する場合は、全従業員の3/4異常の同意が必要です。この場合の留意事項として、加入・脱退は事業所全体が対象になることがあります。従業員が部分的に加入したり、脱退することはできません。
社会保険に加入する人
社会保険に加入するのは、原則として、正規の従業員ですが、正規従業員以外外でも、一定の条件を満たす者は社会保険に加入できます。
一定の条件とは、正規従業員の3/4以上の勤務時間・日数がある者、季節労働で4ヶ月を超えて継続勤務する者、臨時的な事業で6ヶ月を超えて勤務する者、日雇いで1ヶ月を超えて勤務する者などです。
社会保険の被扶養者
社会保険の被扶養者となる者は、直系尊属、配偶者、子、孫、弟妹、その他3親等内の親族です。
被扶養者となるためには、基本的に被保険者によって生計を維持されている必要があります。
社会保険の加入手続き
社会保険に加入するためには、新規適用届、事業所現況書、法人登記簿、被保険者資格取得届、被扶養者届などの書類一式を揃えて、事業を開始した日から5日以内に、管轄の年金事務所に届け出る必要があります。
なお、出勤簿や社員名簿、賃金台帳、源泉所得税領収書なども提示を求められることがありますので、準備が必要です。
手出書類は、管轄の年金事務所によって運用が異なることがありますので、事前に管轄の年金事務所に問い合わせておくことをお薦めします。
社会保険料
社会保険料は、各人の標準報酬月額に保険料率を掛けて算出します。実際の負担は事業主と従業員が折半し、従業員負担分は毎月の給与から天引きされます。
保険料率は都道府県や当該年度によって変動しますので、その都度確認が必要です。
なお、賞与にかかる社会保険料は、実際に支給される賞与額に保険料率を掛けて算出します。