日本の場合、企業の採用担当の立場に立てば、卒業と同時に新規採用するケースが一般的で、やりやすい面があります。どうしても既卒者の採用は優先順位が下がり、求職者にとっては不利になりがちです。このような状況を避け、人材を有効に活用するため、国では、「3年以内既卒者採用拡大奨励金」と「3年以内既卒者トライアル雇用奨励金」の二つの制度を設けています。
なお、平成23年の東日本大震災を受けた事業者には、通常よりも優遇する措置が手当てされています。
3年以内既卒者採用拡大奨励金とは
対象は卒業後3年以内の大学、大学院、短大、高専、専修学校等の新卒者を雇用しようとする事業者です。雇い入れしようとする者は1年以上正規雇用された経験がない者である必要があり、雇い入れ開始時の年齢が40歳未満である必要があります。
若干要件が厳しいですが、ハローワークでの手続きを行えば、正規雇用し、6ヶ月定着した場合に、100万円の助成が受けられます。ただし、この制度の適用は1回限りです。
東日本大震災に伴う特例を受ければ、助成額は120万円となり、1事業あたり10回まで適用が認められます。
具体的な手順としては、ハローワークに求人票を出す場合に、「卒業後3年以内の大卒者等も応募可能」と申し出ます。ハローワークの仲介で採用が決定し、6ヶ月間定着したら、ハローワークに奨励金の支給を申請すれば、助成金が支給されます。
3年以内既卒者トライアル雇用奨励金
いきなり既卒者の正規雇用に踏み切れない事業者向けの制度です。原則、3ヶ月の有期雇用を経て、正規雇用に移行するケースを想定しています。対象者の要件は、「3年以内既卒者採用拡大奨励金」と同じです。
有期雇用期間は月額10万円の助成金が出ます。正規雇用に移行した場合は、これに、50万円の助成金が上乗せされます。もし、正規雇用に移行しなくても、有期雇用期間中の助成金は対象になります。
こちらも東日本大震災の優遇措置が用意されており、正規雇用に移行した場合の助成金は60万円に増額されています。
具体的な手続きは、ハローワークに求人票を出す際、「規則者トライアル雇用求人」と申し出ます。ハローワークの仲介で有期雇用がスタートしたら、2週間以内に「既卒者トライアル雇用実施計画書」を提出します。有期雇用終了後に「実施結果報告書」を提出すれば、有期雇用期間の時勢金の支給を受けられます。正規雇用に移行した場合は、正規雇用から3ヶ月いないに「奨励金支給申請書」を提出すれば、上乗せの助成金を受けられます。