ここでは、雇用主の立場から見た、パート・アルバイトを雇用する場合の留意事項を、法的観点から解説します。
ここでいうパート・アルバイトは、一週間の所定労働時間が正規労働者に比べて短い労働者のことを指します。
このような短時間労働者の待遇を改善する目的で、H20.4に改正パートタイム労働法が施行されました。雇用主はこの法律に沿って、適正に短時間労働者の待遇改善を図らなければなりません。
今や、パート等の短時間労働者は企業にとって、必要不可欠の存在です。我が国の雇用者全体の1/4以上はこの短時間労働者となっている現実を踏まえる必要があります。労働力不足が懸念される我が国にとって、短時間労働者は企業の重要な戦力であり、彼ら・彼女らにその力を発揮してもらうために、その労働環境を改善することは雇用主にとっても有効であることを理解しましょう。
雇用主の責務
同法で、雇用主には、短時間労働者に関して、適正な労働条件の確保、教育訓練の実施、福利厚生の改善、正社員への転換の措置を講じるよう求められています。
これを具体化するために、短時間労働者を雇い入れする際のパートタイム労働指針が定められており、労働条件の交付や就業規則の整備、差別待遇の禁止などが定められています。
パートタイム労働指針
短時間労働者を雇い入れる際には、労働契約期間、就業場所、労働時間、賃金、退職、昇級、退職手当、賞与などを記した文書による労働条件の交付が義務づけられています。
常時10人以上の労働者を使用する雇用主は、短時間労働者に適用される就業規則を別途定める必要があります。この際、短時間労働者の意見を聞くことも求められています。
基本的に雇用主は短時間労働者と正社員を差別してはいけません。同じ内容の仕事をしている場合は、賃金などによる差別が禁止されますし、仕事の内容が異なる場合でも、正社員とのバランスを考慮することが必要です。
正社員を募集する際は、短時間労働者にも応募のチャンスを与えなければなりません。また、一定の資格を有する短時間労働者には正社員への道が拓けるような、登用制度を導入する必要があります。
短時間労働者とのトラブルを調整する努力も求められますし、常時10人以上の短時間労働者を雇用する場合には、短時間雇用管理者を選任して、必要な措置を講じさせなくていけません。