出店場所の選び方
自分の店を出店する場合、何処に、どのような店を出店するのかを決めなくてはいけません。所謂、店舗コンセプトと立地です。
当然ですが、店舗コンセプトは出店計画の全てに影響します。特に、出店場所を選ぶ場合に、自分の店のコンセプトによって立地場所選定の基準が大きく変わってきます。日常的な日用品を売ろうとする場合と非日常的な高級品を売ろうとする場合では、当然探すエリアが変わってくるのです。コンセプトに合わない生活者が幾ら多くいても、自分の店の顧客にはなり得ないのです。
駅前一等地のような、比較的多様なコンセプトに合う立地場所は存在します。しかしながら、そのような場所は当然賃料が高いのです。安易に多様な消費者が集まる場所を探すのではなく、自分の店のコンセプトに合致する個性的なエリアを粘り強く探す努力をすべきです。
商業地域の理解
商圏は、基本的に商業地域に設定することになる場合が多いですが、商業地域といっても様々です。商業地域の基本的な理解をしておく必要があります。
最も商業地域として考えやすいのが都市計画法上の商業地域です。大規模ターミナル近傍など、大規模な商業集積があるエリアです。このエリアは都市計画によるインフラ整備が進んでおり、商業地として大きな魅力があります。
しかしながら、一方では、立地の競争も激しいと考えるべきで、当然賃料も高くなります。また、駐車スペースの問題も深刻です。このようなエリアは当然商業施設が多数立地し、消費者も多数集まりますので、駐車スペースが不足することが多いのです。渋滞の問題もあります。見た目のイメージだけでなく、現実的な問題にも目を向ける必要があります。
次に考えやすいのが、都市計画法上の近隣商業地域です。各鉄道沿線に比較的特徴的な商業集積が見られるエリアです。生活者がたむろしやすい憩いの場が設置されたり、コミュニティ関連施設が整備されている地域も少なくありません。
注意すべきは、発展の方向性です。若者や世帯数の減少によって、急速に商業地域としての競争力を失いつつエリアも存在します。人口動態などに着目して、中長期的な方向性を見極める必要があります。
三つ目は幹線道路沿道の商業地域です。こちらは、都市計画法上は準商業地域や準住居地域になります。道端に大規模な駐車スペースを有する大規模店が多く立地しています。近年は、シネマコンプレックスやゲームセンター、スポーツジムなども備えた大規模施設が立地しています。
若者やファミリー層の集客が期待できますが、渋滞の問題にも目を向けるべきです。また、集客が週末に集中する点も検討すべきです。
最後は、住宅地商業地域です。都市計画法上の専用住居地域などですが、日常的な買い物のニーズに沿った中小小売店が立地するエリアです。自分の店舗コンセプトと合致すれば、地域に溶け込んだ特徴ある店舗展開が可能なエリアです。
具体的な立地選定
具体的に店舗立地場所を選定するにあたっては、自分で足を運び、目と耳でしっかりと確かめることが重要です。それも、天気や曜日などを変えて複数回足を運びましょう。人の動き、関連施設の状況、交通状況などを確認します。
再開発事業の有無についても確認しておくべきです。再開発によって街の状況が一変することがあります。都市再生計画、市街地活性化計画などを自治体で確認しましょう。
物件を選ぶ際、店舗面積は当然確認しますが、見落としがちなのが、店舗面積に含まれる部分とそうでない部分の理解です。はめ込み式のショーウィンドウや階段・エスカレーター・エレベーター、休憩室・喫煙室などは店舗面積に含まれないことが原則です。注意しましょう。
賃料関係
店舗の立地を判断するにあたって、賃料は最も重要な材料の一つです。場合によっては、売り上げに応じて賃料を設定する売上げ歩合賃料のようなものもあります。
共益費は馬鹿になりません。立地施設によって大きく変わってきますので、しっかり確認しておきましょう。施設の点検・営繕費、警備費、植栽管理費、駐車場の維持・管理費などが計上されます。
敷金、礼金関係は、個人住宅の場合と考え方が異なる部分があります。敷金は6~24ヶ月位が相場です。以前は、敷金と保証金が分けられていましたが、最近は敷金に統一されるケースが多くなっています。個人用住宅の賃貸とは異なり、店舗の場合、基本的に礼金はありません。敷金は退く場合、原状回復費用を差し引いて返却されるのが原則ですが、契約の状況によってはトラブルの元になります。契約時点でしっかり確認しておきましょう。
なお、近年、法改正により、アスベストの使用の有無と耐震診断の状況が重要事項説明書の項目に含まれるようになりました。実際に使用する場合、安全上重要事項になりますので、物件選定にあたって参考にしましょう。