都会生活に嫌気がさして田舎で農業をしたいと考える人はたくさんいます。しかし具体的にどうしたら良いのかさっぱりわからないっていうのが現実です。今まで会社員(会社員とは限らないでしょうが典型的な例として考えます)だった人が農家になるためにはどうしたら良いか?なにから始めるべきか?さて具体的に見ていきましょう。
就農にあたっての準備
ぼんやりと農家がやりたいと考えるだけでは一歩も進みません。まずは明確なイメージを持つべきです。イメージがつかめたらそこへ近づくべき方法を考えていきましょう。
一口に農業と言っても多種多様です。米作りと酪農では必要な技術も知識もまるで違います。片方は植物でもう片方は動物です。同じようにあつかえるわけがありません。
有機農法に憧れて農業を目指す人も多いのですが、もちろん簡単にできるものではありません。例えば安全でおいしいお米を作りたいという夢とかは素晴らしいでしょう。でも目指すのならばしっかりとした知識と技術を持ちましょう。
まずはどのような作物を栽培したいのか?酪農だったら乳牛を飼うのか肉牛を飼うのかなどを決めましょう。そしてそれにはどのくらいの面積の農地が必要なのか?を決めましょう。次にどこでやるのか考えましょう。なにをするのか決まればある程度決まるでしょう。北海道でサトウキビを栽培する人はいないでしょう。どこに住みたいかそれぞれ思いもあるでしょう。ですがもっとも目的にとって最適な場所を選びましょう。そして何時ごろから開始するのかもある程度決めておきましょう。農業はビジネスです。事業計画をしっかり立てて収入の目標も立てましょう。
農業初心者が新たな農業を開始するためには、農業技術を学び、資金を確保し、農地を取得することが必要です。
農業技術を習得
一部に誤解している人がいますが、農業と言うのは立派なビジネスです。ビジネスである以上効率よく行い収益を上げなければなりません。そのためにも技術を習得する必要があります。新規就農者は技術の習得が不完全な場合が多くロクな経験もありません。現在の農業は機械化が進んではいますが自然相手である以上なんでもワンパターンで済むわけではありません。地域による差も大きいでしょう。冷害が問題になる地域、干害が問題になる地域それぞれです。地域にあわせたマニュアルなどどこにも売ってません。
まずやりたい農家のイメージが固まってどこでやりたいかも決まったらその付近の農家を訪れてその農家で訓練させてもらいましょう。1年間種まきから刈り入れまで経験することが重要です。可能であれば数年は経験しましょう。
また農業技術を本格的に学ぶには農業大学に行くのもいいでしょう。専門知識が身につきます。また農業経営塾など民間の農業者育成機関も多数あります。就農準備校もいいでしょう。全国に8カ所あります。
また各種農業改良普及センター、各種試験研究機関、農協、農業委員会などでも耕作後の技術や経営管理に関する相談を受け付けています。
農地を取得
新規農業の開始にあたって一番に苦労するのは農地の取得でしょう。農家は先祖伝来の土地への愛着や財産の意識などが強いため、容易に農地を手放さない傾向があります。結果現在、農地取引に関する情報はほとんどありません。また、田舎の村では、仲間意識が強く環境に適応できないと苦労します。
したがって、農地取得に関しては、新しい農家の受け入れ、農業候補地への移住、地域内の信頼関係構築に積極的な都道府県や市町村の情報を集める必要があります。
一般に、土地を購入する際には、「売り手と買い手が売買契約に署名し、買い手が支払って土地の所有権を取得し、その旨を登録する」という流れが必要です。農地はこれに加えて、農地法の許可が必要です。農地を借りても同じように扱われます。農地法の許可を得るために、販売契約を締結する前または後に市町村農業委員会に申請書を提出します。許可なく農地などを売買しても登録できません。
申請書を提出すると、農業委員会は農業経営の状況(農場などを効率的に利用するか否かを問わない)と管理区域を検討します。新規農家は以下のような事柄を満たす必要があります。
・常時農業に従事する
・買収後の農地は自治体によって決定された面積以上である
・通信距離やビジネス状況を考慮した効率的な農業経営をすること
・すべての農地を栽培しなければいけない
農地を得るには、作物や生活条件を慎重に考慮して、農地面積、土壌条件、水質、日照条件、農地価格などを考慮しましょう。
農地取得にあたっては、「利用権設定推進事業」(地方自治体が農業委員会などと協力して農地権利の調整・促進をする制度)を活用する方法もあります。詳しくは各自治体に問い合わせをしましょう。
資金を確保
繰り返しますが農業はビジネスです。ビジネスである以上最初に資金を投入する必要があります。その資金で農地や農業機器、肥料料、飼料料、種子を買います。酪農であれば家畜の購入、畜舎などの施設建設が必要でしょう。
また農業は始めたから即お金になるわけではありません。稲作管理ならば田植えから稲作販売まで約半年、酪農であれば子牛を購入してから約1年半お金は入ってきません。その間の生活資金も必要になるでしょう。トータルで考えると結構な金額が必要です。自前で用意するとなると大変です。自前で無理なら公共財政制度を利用しましょう。
日本政策金融公庫は農業経営用に長期的な低金利の資金調達システムを用意し農家を支援しています。詳しくは市町村、農協、農業改善センター、農業委員会、新規農業相談センターなどにお尋ねください。
就農後の注意
その他の新規就農の場合の注意は次のよう。
■経営管理
会社員と違って農家の場合は自営業ですからすべて自分でやらなければなりません。経費、農業収入、税金なども全部自分で計算して自分で納めなければいけません。その上で堅実な経営をしなければなりません。
■年金
年金も自分で国民年金に加入して支払う必要があります。二十歳以上は義務です。
■農業協同組合
絶対というわけではありませんが農協に加入したほうが良いです。農業関連の資材とか作物の販売など経済活動全般に便利です。
農業関連の組織および相談先
支援機関と相談先
新規就農予定の人は各都道府県のカウンセリングセンターに相談しましょう。各センターの連絡先は次のとおりです。
■全国新規就農相談センター
http://www.nca.or.jp/Be-farmer/
就農までの流れと支援機関・相談先は次のとおりです。
農業関連組織
農業ではいろいろな組織があります。そのうちで主要なものを紹介します。
■農業協同組合
農業協同組合(農協)は一般的な総合農協(農業全般を扱う)と専門的な専門農協(作物・家畜などの別に専門に扱う)があります。各市町村に農協やその支所があります。農家の大部分は総合農協も加入しています。
■農業委員会
市町村役場の中には農業委員会という組織があります。これは選挙によって選ばれた農業委員が執行している組織です。農地法の許認可や新規就農者への農地の紹介、農業生産者の育成などが任務です。どちらにしても新規就農者は農業委員会に行かねばなりません。ついでに相談しておくべきです。また同系統の組織で都道府県農業会議や全国農業会議所があります。この中に新規就農相談センターがあります。
■地域農業改良普及センター
地域農業改良普及センターは農業改良助長法(1948年)に基づき設置されたものです。米国を参考にしたといいます。農業技術と経営指導が目的です。新規就農者に農業相談窓口を設置しています。融資制度などの相談など農業に関する情報を提供してくれます。
し、訓練場の導入やに対応しています。 た農場改善資金の受付もここです。
<本資料のご利用にあたっての注意>
融資資制度は変わることがあります。予算枠によっては受付が中止されます。制度そのものが無くなることもあります。金利も公定歩合で変わります。使用を検討している場合は直接その組織に尋ねてください。
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