出店する場所を決める
小売業の場合、出店する場所は売り上げを決める決定的な要素です。どこに出店するかによって売り上げが決まってくるのです。
出店場所を決める要素は幾つかあります。まずは、設定する商圏の人口です。将来も人口の増加が望める場所を探しましょう。次は顧客の分析です。自社がターゲットとする顧客がその地域に多いか少ないか検討します。顧客の購買力が高いかどうかも重要です。ここまでで、その地域に出店するかどうかの判断をします。
次は具体的な店舗の場所を決めます。候補の場所が決まったら、駅やバスターミナル、通行車両の量、集客が見込める施設の有無などから、そこに人が集まりやすいかどうかを判断します。競合する店が近くにあるかどうかも重要な要素です。
出店する場所の調査を行う場合は、時間や天気、曜日などを変えて複数回行う必要があります。公的な資料などを活用して、将来の開発計画なども見ておきましょう。
店舗を確保する
一般的に、店舗は賃貸する場合がほとんどです。店舗の賃貸にあたって注意する必要がある事項は、居住住宅を賃貸するときと同じです。建物の状態を把握し、建物の権利関係も確認して、賃貸契約事項をよく読みます。
家賃ばかりに注意が行きがちですが、共益費や敷金、礼金、仲介手数料などもきちんと確認しておきましょう。
具体的な開店準備
店舗を作る
本来は店を探す前に準備しておく必要がありますが、出店する店のコンセプトを再確認します。顧客や店のイメージ、品揃えや価格帯のコンセプト、接客などの顧客対応方針です。
次に具体的に店の内装・外装を作ります。設計・施工業者の選定は慎重にやりましょう。実際にその業者の施工例を自分で見て判断しましょう。工程管理も任せっきりにしないで、自らきちんとチェックしましょう。
売り場の設計は重要です。顧客が歩く場面を想像して設計しましょう。顧客が買いやすいかどうかが判断基準です。自己満足的にこだわるのは厳禁です。
商品を仕入れる
品揃え、価格帯のコンセプトは出来ているはずです。これに沿って商品を仕入れるのですが、仕入れ先を決める場合には注意が必要です。金額だけで決めてはいけません。安定的に品質のそろった商品が提供されるか、物流機能をチェックする必要があります。仕入れ先の評価は、商工会議所や業界団体組合など客観的な情報が得られるところに相談しましょう。
当然、仕入れ先が一社だけだと売り手市場になり、価格面や安定供給面で不利になります。出来れば、複数の仕入れ先を確保しておきましょう。
損益分離売上高を計算しておく
採算をとるために必要な売上高を事前に計算しておく必要があります。一般的には、損益分離点方式の計算式が採用されます。
つまり、一個あたりの販売額から変動費である仕入れ額を引いて限界利益を出します。固定費をこの限界利益で割ると、固定費を回収するために必要な売り上げ個数が出ます。これに販売数を掛けると、採算をとるために必要な売上高が計算できます。
具体例)
1個80円で仕入れた商品を120円で販売します。一ヶ月の固定費を50万円とした場合、利益を生み出すには最低何個売らなければならないでしょうか?
限界利益は120円―80円で40円です。
50万円を限界利益40円で割ると12,500ですから、固定費を回収するためには最低12,500個売る必要があります。そうすると、最低必要な売上額は12,500個に売値120円を掛けて、150万円ということになります。
関係先に各種手続きをする
実際に営業を始めるためには、各種手続きが必要です。業種によって異なりますが、通常は、国、自治体、保健所、警察署などから開業の許認可を得ておく必要があります。
税務署には開業届け出で必要ですし、社会保険事務所にも健康保険・厚生年金保険の加入申請が必要です。労災保険・雇用保険の関係では、ハローワーク、労働基準監督署に届け出でが必要です。
まとめ
これまで見てきたように小売業を開店するためには、結構面倒な手続きや作業が必要です。各地域の商工会や商工会議所では、相談窓口が整備され、専門家が相談に対応してくれます。積極的に足を運びましょう。