小売業や卸売業にとっては、常に新しい仕入れ先を探索し続けることが重要です。自社の取り扱う商品の競争力を上げるためです。ものづくり企業にあっては、新商品の開発力が競争力の源泉になりますが、自ら製造しない小売業や卸売業にとっては、新たな仕入れ先の開拓こそ、ものづくり企業の商品開発力に相当する競争力の源泉なのです。
仕入れ先の選定基準
仕入れ先を選定するにあたって検討するべき事項として、まずはその商品力が上げられます。ものが良くないと話になりません。商品力としては、品質やデザイン、ブランド力、商品の種類、安定供給力などを見ます。勿論、価格設定の妥当性は必須項目です。
商品そのもの以外では、取引条件の公平性や情報提供力、担当者の人間性なども見るべきです。永い付き合いになりそうな場合は、特に商品以外の事項についても慎重な見極めが必要です。
ちょっと判断が難しいですが、取引先の経営状況や経営姿勢なども見ておく必要があります。安定的な経営ができているかどうか、社会的な信用はどうか、経営者の経営姿勢などもチェックしておきたいものです。
取引前の取り決め事項
どのようなビジネスをする場合でも、何らかの形で、商品や原材料の仕入れは出てきます。相手が顔見知りであったり、小規模な取引の際は口約束にしたり、曖昧なまま進めたりすることがありますが、トラブルの元になります。必ず書面で事前に取引条件を決めておきましょう。
仕入れ条件
仕入れする場合のケースとしては、買取仕入、委託仕入、消化仕入れの別があります。最も一般的なのは買取仕入で、自分で商品を買い取る形です。当然金銭的リスクは買取る側に発生します。委託仕入は、商品を買い取らず、売上げ分だけの手数料を取る方式です。リスクは下がりますが、実入りも下がります。消化仕入れは、売れた分だけ発注する方式で、買取仕入の一種です。
価格条件
価格交渉は、最重要項目です。気をつけなくてはいけないのは、商品価格以外の保証金などの存在です。リベートやキックバックなどは論外ですが、加盟金のような形もあります。結局は仕入価格の上昇につながりますので気をつけましょう。
仕入の場合、特に新規の場合は、色んな割引を受けられる可能性がありますので、必ず、ダメ元でも交渉しましょう。割引には、現金割引、数量割引、季節割引、販促割引、業者割引などがあります。
発注先
発注先を1社に絞ると、確かに仕入れ先の集約メリットがあり、発注コストを下げることができますが、一方ではリスクも伴うことを忘れてはいけません。その仕入れ先から、ものが入ってこなくなったら、新規仕入れ先を探さなくてはいけません。結局長期的に見ればコスト高につながることになります。手間でもできるだけ発注先は分散させましょう。仕入れ先毎の数量バランスにも配慮が必要です。
納品
納入期限が守れないような仕入れ先は無条件に切りましょう。ビジネスに影響します。また、納入場所も不用意に第三者が入ることができる場所を指定することはNGです。衛生面への配慮が必要です。
その他の取り決め事項
商品の仕入に関しては、ほかにも細々とした配慮が必要です。荷姿の確認も必要ですし、輸送費の扱いは商品仕入コストに影響しますので、どちら持ちか事前にハッキリさせておきます。ものによっては、保険のかけ方・費用の負担も取り決めておく必要があります。
支払いもトラブルを生みます。後払いの場合、長くとも二月を超える場合は注意が必要です。トラブルが発生してから、解決策を探るのではなく、想定されるトラブルは事前に対策を検討しておくべきです。できれば契約書の中にトラブルの処理方法を明記したいものです。