会社とは
会社は法人です。法人は、自然人(私たちのこと)に対する存在です。法人も自然人と同様に、様々な権利や義務を持ちますが、当然ながら、自然人のように肉体を持ちませんので、肉体を前提にした自然人が持つ権利や義務は持ちません。
会社には、合名会社、合資会社、株式会社、そして合同会社の四つの種類があります。株式会社を物的会社、株式会社以外の三つを人的会社と呼びます。
人的会社は、限られた出資者だけで構成され、全員で会社を運営します。一方、物的会社である株式会社は多数の出資者を想定しており、会社の運営は出資に選ばれた人たちが行います。
合名会社、合資会社、合同会社の違いは、出資者の責任範囲です。合名会社の出資者は全員が無限責任を負います。一方、合同会社では、全員が有限責任しか負いません。合資会社は、その中間で、無限責任を負う出資者と有限責任しか負わない出資者の両方で構成されます。
なお、株式会社は出資者全員が有限責任しか負いません。
株式会社の設立要件
平成18年5月に施行された新会社法によって、大幅に株式会社の設立要件が緩和されました。
それまで1000万円以上だった最低資本金の規制が撤廃されました。商号(会社の名前)についても、類似商号の調査が不要になりました。取締役や監査役の人数や任期も大幅に緩和され、取締役会の設置も必須ではなくなりました。
だれでも、1円の資本金で株式会社を設立できるようになったのです。
具体的な株式会社の設立手順
最も単純なケースの株式会社設立のフロー図は以下のとおりです。
発起人の決定
会社設立までの様々な手続きを行う発起人を決めます。人数の制限はありません。発起人は1株以上の株式を出資し、定款に署名します。通常は会社の代表取締役就任予定者が務めます。
定款の作成
定款に記載する事項には、定款が無効にならないために絶対記載しなくてはいけない「絶対的記載事項」とそれ以外の項目があります。以下、「絶対的記載事項」について、逐次解説します。
まずは、会社の目的です。その会社がどのような事業を行う会社なのか、具体的に記載します。気をつけなくてはいけないのは、具体的でありつつ、事業の範囲をある程度広げておく配慮が必要なことです。将来のことも念頭に置いた記載が必要です。
次に、商号(会社名)と会社の所在地を決めます。商号は会社の顔になりますので、慎重に決めましょう。
後は、会社設立時に出資される額を決めます。
ここまで決まったら、最後は、発起人の氏名と住所を決めれば、定款の最低限度の決め事は終了です。
定款の認証
定款ができあがったら、公証人による定款の認証が必要です。公証人は、管轄内に複数ある公証人役場に所属しています。ここで、定款が法的に問題ないか、公序良俗上問題ないかチェックを受けます。費用は、印紙代を含めて10万円程度見ておけば大丈夫です。
出資金の払い込み
出資金の払い込みは、発起人の印鑑証明、払込事務取扱委託書、株式引受人名簿、発起人規約を付けて、金融機関に払い込みます。なお、払込には、出資金の0.25%程度の手数料が必要です。
設立時取締役会の開催
出資金の払い込みが終了したら、監査役の調査を受けて、第一回目の取締役会を開催します。ここで決定すべき最重要事項は代表取締役の選出です。それ以外にも、本社の所在地等を決定します。
議事録を忘れないように作成します。
設立登記
いよいよ設立登記です。
登記申請書、登録免許税納付台紙、払込金残高証明書、取締役・監査役選任決議書、同就任承諾書、取締役会議事録、印鑑証明などを揃えて、管轄する登記所に申請します。
関係官庁への届け出
設立登記が終了すれば、会社の設立は完了です。後は、関係するこまごまとした関係官庁への届け出です。設立する会社によって、内容は異なってきますので、関係先に相談しながら対応します。