起業するにあたり、法人事業として登録をするか
個人事業として登録するかを決める必要があります。
しかし、初めての企業であればどちらが良いのか迷うところです。
結論から先に「簡単」に申し上げると・・・
- 個人事業主というのは「手続きが非常にシンプル」ですが節税のメリットが少ない
- 法人事業主というのは「手続きが非常に複雑」ですが節税のメリットが大きい
という事になるでしょう。
上記の点を含めて、もう少し詳しく違いを説明したいと思います。
個人事業について
前述で述べたように、個人事業主は登記の必要がありません。
これは大きなメリットです。
極端な事を言えば、ビジネスアイデアを思いついたその日から
事業を始めることが出来るのです。
もちろん、企業をどこにも報告しなくてもよいという訳ではありません。
「税務署」への開業の届けは必要ですが、これも非常にシンプルな内容です。
しかも、起業してから届け出は1ヶ月以内で良いことになっています。
この開業届け出を行うことで、青色申告を利用することが出来ます。
青色申告によって、節税対策を行えるため大きなメリットと言えるでしょう。
例えば、『白色申告』の場合
家族専従者で事業をしていたとしても、給与を経費にできません。
その代わりに、配偶者の場合は年間86万円の控除を受けることができます。
また、他の家族専従者の場合は、年間50万円の控除を受けることが出来ます。
ただし、当然の事ですが家族専従者として申告すると
扶養控除を受ける事は出来なくなるため注意が必要です。
一方で、『青色申告』の場合は
家族専従者で事業をしていた場合、扶養控除が受けられなくなりますが
給与を経費として扱うことが出来ます。
つまり、家族専従者の所得が195万円以下の場合は5%の税率
330万円までであれば10%の税率となっています。
したがって、所得が多い場合、専従者給与を支払うことで
所得を分散し節税を行うことが出来るのです。
さらに、青色申告を行うことによって
その他の控除や経営状況、更には融資の資料として活用することが出来るため
個人事業主として起業するのであれば
青色申告をお勧めいたします。
さらに個人事業主のメリットは、開業申請のシンプルさだけではありません。
事業内容にもよりますが、起業は自宅でPC一台あれば出来る場合もあります。
つまり、起業資金は必要最低限のもので良いのです。
インターネットを利用した、アフィリエイト事業であれば
レンタルサーバー費用など含めても1万円ほどの資金で起業することが出来ます。
さらに、一般企業のように法律上の組織構成は必要ありません。
もし、家族や夫婦で経営する場合でも
先にもふれた「専従者」としての給与(必要経費)を決めるだけで良いのです。
もちろん、個人事業が簡単で「リスクが無い」という訳ではありません。
個人事業は、個人の資産が元になるため、事業で大きな損を出した場合
私財で負債の支払いを行う必要があります。
個人事業での起業を検討されているのであれば、
事業資金の限度枠を決めておくようにしましょう。
このように個人事業主は規模が小さく、
主に家族が中心になって事業を運営される方におススメです。
法人事業について
法人事業は個人事業とは違い組織や権限、責任の所在を記した
定款の作成や法務局への登記が必要となります。
法人事業の企業は複雑な手続きが必要となるが、
その分、社会的信用が高く、資金調達をするため金融機関から信用を得やすくなる。
さらに法人事業も個人事業と同様に法人設立後2ヶ月以内に
税務署等へ設立の届け出、3ヶ月以内に青色申告の承認申請書を提出する必要があります。
法人事業の場合、比例課税といって、所得の金額にかかわらず
一定割合で税率が課されます。
つまり、所得金額が大きな事業であればあるほど
法人事業とすることにメリットがあるのです。
起業するなら個人と法人どちらにすべき
簡単ではありますが、ここまでに個人事業と法人事業について
説明してきました。
では、起業するなら法人と個人どちらにすべきなのでしょうか?
事業をする上で、法人でも個人でも
どちらにもメリットがありデメリットもあるため一概に言えませんが・・・
一般的に所得金額が一千万円を超えるようであれば
課税など考えても法人事業で申請をしたほうがお得と言えます。
もちろん、それ以下の所得でもまた小さな事業であったとしても
法人登録を行うことは可能です。
また、社会面でも法人化することで信用を得られるため
個人事業より優れていると言えるでしょう。
しかし、小さな事業の多くの場合、経営者と従業員を兼ねている場合があります。
法人事業は、申請や運営が煩雑であることをよく理解したうえで
申請されることをおススメいたします。
個人事業経営から、法人事業へ移行することも可能ですので
事業が軌道に乗るまでは個人経営で申告し、
その後、法人登録するといった方法もあります。
いずれにせよ、企業に向け事業目的や事業方針に合った
形態で登録することをおススメいたします。